土と炎とその色と― これは一杯の「器」の向こうにある人類の探求心の物語【終映日:2022年12月16日(金)】
【監督】柴田昌平
【キャスト】熊谷幸治,宮尾亨,谷川菁山,加藤宏幸,小泉龍人,任星航,ティエリー・ヴォワザン,山花京子
2022年/日本=中国/110分/プロダクション・エイシア(配給協力:ポレポレ東中野)/DCP
12月10日(土)〜12月16日(金) |
10:50〜12:50 |
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一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,200 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,200 |
星空のもと、盃を重ね自問するのは、器の精霊 “陶王子(とうおうじ)”。陶磁器でできたアニメーションのキャラクターだ。陶王子の夢物語として、映画は展開していく。
日々使うさまざまな「器」、その向こうに――
地球上の全人類の2万年の「探求心」と「知恵」が見えてきます。
幻想と現実の世界を心地よく交差させながら、真実を浮き彫りにするタイムトラベルの旅へ
ようこそ!
▶監督より
人類が連携して創り上げた陶磁器
きっかけは、5年前にフランスから届いた、ある陶芸アーティストの手紙だった。
「あなたと、陶磁器の歴史のドキュメンタリーを作りたい」
彼女は、僕の前作『千年の一滴 だし しょうゆ』をパリで観て、連絡をくれたのだった。
なぜ僕なの?
僕は陶磁器のこと全然知らなかったし。旅から旅の生活で、家も狭いし、器を置く場所がない。そもそも物欲がない。
「日本は土器の発祥地でもあり、土の種類も豊か。窯や作家の数も、世界的に見て、ずば抜けて多い。日本にない焼き物はなく、日本列島にはセラミックの歴史が凝縮しています。最新のファイン・セラミックだって、日本は最先端を走っています。日本にいるあなただからこそ、人類と陶磁器の歴史をひもとくドキュメンタリーが作れるはずです」
なるほど、確かに! 「マイカップ」を自宅や職場に置き大切にしている地域は、世界でも日本だけだといわれる。器に自分自身を重ね、まるで分身のように扱う僕たち日本人。そのDNAは、はるか縄文時代に遡るのだろう。
リサーチを進める中で、北京に、磁器で作った人形でアニメーションを作るアーティストがいることを知った。耿雪(Geng Xue ゴンシュエ)という若い作家だ。彼女に「陶王子」という器の妖精を作ってもらい、陶磁器の発展にあわせて陶王子が成長していく物語として、ストーリーを描くことにした。
中国やフランスに何度も通い、打合せを重ねた。
「陶王子」の声は、のん。あどけなさと高貴さを見事に表現してくれた。
「ナショナリズムに陥るな!」――― それが5年前にこの企画をスタートさせたときからのスタッフの合言葉だった。器=陶磁器は、洋の東西を行き来しながら、人類がみなで育ててきた文化だ。
この映画が分断する世界をつなぐ希望となることを願っている。
監督 柴田昌平
(C)プロダクション・エイシア/NED
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