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『ふゆの獣』の内田伸輝監督×アジア映画界のミューズ、杉野希妃。傑出した才能たちのコラボレーションが生んだ衝撃の問題作!
【監督】内田伸輝
【キャスト】杉野希妃,篠原友希子,山本剛史,渡辺杏実,小柳友
2012年/日本,アメリカ/102分/和エンタテインメント/ブルーレイ上映
3月16日(土)〜3月20日(水) |
16:20〜18:10 |
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3月21日(木)〜3月22日(金) |
10:30〜12:20 16:20〜18:10 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,700 | ¥1,400 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,400 | ¥1,000 | ¥1,000 |
あの日は、突然やってきた。日本観測史上最大規模のマグニチュード9の大地震、東日本沿岸を襲った巨大津波、そして福島第一原発の事故。
そのさなか、東京近郊のマンションに住むサエコは夫から一方的に離婚話を切り出され、ひとりぼっちで幼い娘、清美を育てることになる。原発から飛散した放射性物質への恐怖ゆえに、清美に絶対外で遊ばないように言い聞かせ、自ら購入したガイガーカウンターで幼稚園の庭の線量を計測するサエコ。しかし愛する娘を守りたい一心で取った彼女の行動は、他の母親たちからノイローゼと断じられ、無言電話などの陰湿なバッシングを浴びるはめになってしまう。
その頃、同じマンションの隣人であるフリーライターのユカコも、インターネットでチェルノブイリの事例を調べ、放射能への危機感を募らせていた。仕事も手につかず、いても立ってもいられなくなった彼女は、会社勤めの夫に引っ越しをすべきだと主張する。やがて孤立感が深まるばかりのサエコとユカコ、それぞれの不安が限界点に達したとき、見知らぬふたりの人生は思いがけない形で交錯していく……。
世界が一変したあの日、2011年3月11日の東日本大震災の痛ましさに胸を衝かれた多くの映画人は、3.11以後を模索するドキュメンタリーやフィクションの創作に取り組んできた。2010年の『ふゆの獣』で東京フィルメックス・グランプリに輝いた内田伸輝監督もそのひとり。ところが国内外で注目されるこの俊英のアプローチは、ちょっと他とは違っていた。被災地の東北にカメラを持ち込まず、あえて首都圏の平凡な住宅街を舞台に選んだのだ。
3.11直後、福島から微妙な距離にある東京では、「直ちに健康に影響はない」などの曖昧な政府のアナウンスや、あちこちに飛び交うデマが市民を疑心暗鬼に陥れていった。放射能という見えない脅威、見えない怪物にさらされた人々は、いったい何を思い、いかなる行動を取ったのか。
内田監督の最新作『おだやかな日常』は、いわれなき風評被害や差別が巻き起こったパラノイア的な社会状況を生々しく再現するとともに、はからずも大切なものを守るために放射能の恐怖との闘いに身を投じたふたりの若い女性の運命を見すえていく。
彼女たちの行く手に待ち受けるのは、予想だにしなかった周囲の人々との凄まじい軋轢、そして絶対的な孤独。容赦ないほど鋭い眼差しに貫かれた本作は、絶望のどん底に突き落とされてもなお這い上がろうとする人間の可能性を信じ、予定調和とはかけ離れた壮絶なクライマックスへとなだれ込んでいく。
かくして極限のサスペンスと希望のありかを探る迫真のドラマ、その果ての息をのむほど美しい瞬間が、観る者の心を震わせてやまない衝撃的な問題作が完成した。
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