公式サイト: http://www.los-movie.com
「アクト・オブ・キリング」を被害者側から見つめ返す、慟哭のドキュメンタリー!
【原題】The Look of Silence
【監督】ジョシュア・オッペンハイマー
2014年/デンマーク,フィンランド,インドネシア,ノルウェー,イギリス /103分/トランスフォーマー /DCP上映
8月01日(土)〜8月07日(金) |
19:10〜20:55 [レイト] |
---|---|
8月08日(土)〜8月14日(金) |
17:40〜19:25 |
8月15日(土)〜8月21日(金) |
12:05〜13:50 |
8月25日(火) |
15:50〜 |
8月27日(木) |
15:05〜 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,200 | ¥1,000 | ¥1,000 |
【虐殺で兄を失った青年は、自ら加害者に会い、その罪を直接問いかけた。
静かな衝撃の中に、50年間沈黙を強いられた母と子の想いが溢れ出す___。】
虐殺で兄が殺害された後、その弟として誕生した青年アディ。彼の老いた母は、加害者たちが今も権力者として同じ村に暮らしているため、半世紀もの間、亡き我が子への想いを胸の奥に封じ込め、アディにも多くを語らずにいた。2003年、アディはジョシュア・オッペンハイマー監督が撮影した、加害者たちへのインタビュー映像を目にし、彼らが兄を殺した様子を誇らしげに語るさまに、強い衝撃を受ける。
「殺された兄や、今も怯えながら暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい―――」 そう願い続けたアディは、2012年に監督に再会すると、自ら加害者のもとを訪れることを提案。しかし、今も権力者である加害者たちに、被害者家族が正面から対峙することはあまりに危険だ。眼鏡技師として働くアディは、加害者たちに「無料の視力検査」を行いながら、徐々にその罪に迫る。加害者たちの言葉から浮かび上がるのは、“責任なき悪”のメカニズム。さらには、母も知らなかった事実が明らかにされてゆくのだった。半世紀もの間、恐怖によって“沈黙”を強いられてきた被害者たちの想いが、いま溢れ出す…。
【すぐ隣に加害者がいる恐怖。
常識を超える、被害者と加害者の対面“対面”。
そこから“責任なき悪”を生み出す心理的メカニズムがあぶりだされていく____。】
『アクト・オブ・キリング』が加害者に密着し、彼らの内面に寄り添うことで“悪の正体”に迫った一方、『ルック・オブ・サイレンス』は被害者側から加害者の姿を見つめることで、被害者にとって、恐怖が日常生活のすぐ近くにあることを強く印象付ける。兄を、息子を殺した加害者は、今も同じ村の権力者であり、知人であり、時にはごく近い親戚でもある。あまりに身近な恐怖のために、被害者たちが沈黙を強いられ続けている様子が、アディや母、家族たちの葛藤を通して浮き彫りにされていく。そしてもう一つ、アディが目の当たりにしたのは、加害者の誰もが、虐殺を自分の責任とは捉えていないという事実。長い沈黙を破り、加害者と対峙したアディの勇気によって、殺人の実行者たちが、責任を感じることなく大罪を犯し得る心理的メカニズムが浮かび上がってくる。
【ヴェネツィア映画祭5部門受賞ほか、早くも世界の映画賞を席巻中!
感動と慟哭の結末に、『アクト・オブ・キリング』をも上回る傑作との評価が続出。】
2014年のヴェネツィア映画祭でお披露目された本作は「前作を上回るほどの傑作」と、批評家、観客の両方から大絶賛され、審査員大賞ほか5部門を制覇。公式上映後はスタンディング・オベーションが鳴り止まず、長い沈黙を破った母と子の想いが溢れ出す感動的な結末、そして映画が暴きだした“人間”という存在の不条理に、会場は声にならない驚きと、観客たちのすすり泣く声で満たされた。その後もトロント、ベルリンなど世界有数の映画祭に招待され、多くの賞を獲得。今後も、さらに多くの映画祭や批評家賞での受賞が期待され、7月の全米公開を前に、早くも来年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞の有力候補とささやかれている。前作に引き続き、ヴェルナー・ヘルツォーク、エロール・モリスの2大巨匠が製作総指揮。完成した映画に、「人間という存在を鋭く洞察した傑作」と、前作以上の驚きと惜しみない賞賛の声を寄せている。
【BACKGROUND
映画『ルック・オブ・サイレンス』と『アクト・オブ・キリング』の背景】
この映画は、1965年9月30日深夜にインドネシアで発生し、この国のその後の運命はもちろんのこと、国際関係にも大きな変化をもたらした、いわゆる「9・30事件」後の大虐殺を描いたドキュメンタリーである。これは大統領親衛隊の一部が、陸軍トップの6人将軍を誘拐・殺害し、革命評議会を設立したが直ちに粉砕されたというクーデター未遂事件であるが、それだけでは終わらず、未曾有の大混乱をインドネシア社会に呼び起こした。9・30事件そのものは未だにその真相が明らかになっておらず、陸軍内部の権力争いという説も強いが、当時クーデター部隊を粉砕し事態の収拾にあたり、その後第二代の大統領になったスハルト少将らは、背後で事件を操っていたのは共産党だとして非難し、それに続く一、二年間にインドネシア各地で、100万とも200万ともいわれる共産党関係者を虐殺したのである。そしてそれに対して、日本や西側諸国は何ら批判の声を上げることなく口をつぐんだのであった。
それまで、容共的なスカルノ大統領のもとでインドネシア共産党は350万人もの党員と、傘下に多くの大衆団体をかかえる有力な政治勢力のひとつであった。しかしかねてからそれを快く思っていなかった陸軍はその力を削ぐ機会を伺っており、この9月30日の事件を口実にそれに乗り出したものである。とはいえ、当時共産党は合法政党であったから、国軍が前面に出るのではなく、イスラーム勢力やならず者など反共の民間勢力を扇動し、密かに彼らに武器を渡して殺害させたのである。ごく普通の民間人が武器を握らされ、国軍からにわか仕立ての訓練を受けて殺害に手を染めた。イデオロギーの違いから近隣の者はおろか肉親にさえ手をくださねばならない場合もあった。スハルトによる新体制が確立した後の1973年に、この一連の虐殺の中で共産主義者の命を奪ったものに対しては法的制裁が課されないことが検事総長によって正式に決定されたが、その記憶は多くの人にとってトラウマとなって残っている。
月例イベント
ブログ