公式サイト: http://www.71.ayapro.ne.jp/
IRA、北アイルランド問題を背景に、敵地にひとり取り残された若き英国兵士の悪夢の一夜を描く、サバイバル・スリラー
【原題】'71
【監督】ヤン・ドマジュ
【キャスト】ジャック・オコンネル,ポール・アンダーソン,リチャード・ドーマー,ショーン・ハリス,マーティン・マッキャン
2014年/イギリス/99分/彩プロ /DCP上映
10月17日(土)〜10月23日(金) |
17:40〜19:20 |
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一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
【若い英国兵士はベルファストの街中にひとり取り残された。武器もない、敵・味方も判然としない。
絶望的な紛争の最前線で今、決死のサバイバルが始まる!】
1971年、ベルファスト。北アイルランド成立以来、半世紀に及ぶプロテスタント系住民とカトリック系住民との衝突はいよいよ激しさを増し、街はかつてない緊張感の直中にあった。イギリス映画『ベルファスト71』は、そんな戦場同然の危険地域に無防備でさすらうことになった若い英国軍二等兵の一夜の脱出行を描いたスリリングなサバイバル・ドラマである。
北アイルランド問題や、IRA(アイルランド共和軍)をめぐる秀作、話題作は枚挙に暇がないほど。その映画史の一端を飾る本作品は、時代的には「血の日曜日事件」(1972年1月30日)発生前夜の物語であり、IRA内部で過激な定派と穏健派に分裂していた直後の状況を背景に持っている。
もとよりカトリック勢力の強いベルファストは当時、治安当局による一斉拘留(インターンメント)の開始によっていかなるカオス状態にあったのか。複雑に絡み合う絡み合う活動家たちの思惑は恐ろしく生々しく、妙な郷愁や感傷に溺れることを許さない。時代を超えた普遍的な人間の感情を美化することなく剥き出しにぶつけてくる。
21世紀を迎えた今日、各地の地域紛争、民族衝突問題がますます身近な問題になっている我々にとって、これは単なる遠い過去のひげきではない。もはや避けられぬ「現実」なのだ。英国軍二等兵が目の当たりにするベルファストの街と事件は、その意味で「現代の縮図」であるといってもいい。架空のドラマながら、史実に匹敵する心の真実がここにはある。
【_ベルファストがどこにあるか知っているな?
北アイルランドだ。イギリスの領土だ!】
主人公の英国軍二等兵ゲイリーを演じるのはイギリス出身のジャック・オコンネル。『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』(14)でハリウッド映画デビューし、アンジェリーナ・ジョリーの監督第2作『Unbroken』(14/末)では主役に抜擢されるなど、現在注目を浴びる若手俳優にとって、本作での体を張った二等兵役は将来にわたって長く語られる熱演であろう。
監督はこれが初の長編劇映画監督デビューとなるフランス出身、イギリス育ちの新鋭ヤン・ドマンジュ。「Top Boy」(01/末)をはじめ、イギリスのテレビドラマ界でまぶしい受賞歴を誇っていた彼にとって、数あるオファーの中で心を奪われた映画企画はこの作品だけだったとか。その優れた映像感覚、ストーリーテラーぶりで今後、映画界でも引く手あまたの存在になっていくに違いない。
アメリカの映画レビューサイト「ロッテン・トマト」では満足度97%を記録し、第64回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門では「エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション」を受賞。あらゆる映画祭で保証された作品の質は、そのまま耐え難き苦渋を味わってきた北アイルランド人の涙につながる。紛争による死者数は1998年までに3,500人あまり。当時の人口約160万人に対して、この数字は決して小さくない。
北アイルランド問題を撃ち抜いた名作群にまたひとつ、重要な秀作が加わった。
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