公式サイト: https://www.madegood.com/the-painter-and-the-thief/
2枚の絵画が何者かに盗まれた。画家は犯⼈を突き⽌めるも、犯人は「覚えていない」の⼀点張り。「あなたを描かせてー」画家の突然の提案から、思いも寄らない2⼈の関係が始まる。
【原題】Kunstneren og tyven
【監督】ベンジャミン・リー
ノルウェー/102分/MadeGood.films/
チェコの画家バルボラ・キシルコワはオスロに移住したばかりの頃、彼女の絵画を展示していたギャラリー・ノーベルからとんでもない知らせの電話を受けた。2人の男が白昼堂々とギャラリーに侵入し、彼女の絵画2点を持ち去ったという。バルボラは盗まれたことへの怒りよりも困惑と疑問を感じた。「なぜ私の絵を盗んだの?」 ガーディアン誌の取材にも「私は有名なアーティストでもなく、不法侵入し法を犯してまで盗むほどの価値はない。ピカソじゃないんだから。」と語っていた。謙虚な発言だが、ある意味現実でもある。盗まれた2作品は「クロエとエマ」と「白鳥の歌」。どちらも4×6フィートもの大きさの魅力的なリアリズム絵画だった。泥棒たちは絵をフレームから外して丸めて持ち出したのだが、慎重に200本以上の釘を抜き無傷で取り外していた。この作業は専門家でさえ少なくとも1時間はかかるだろう。
バルボラは大切な2枚の絵を取り戻したい気持ちと同じくらい、持ち去った泥棒たちが気になった。その後、防犯カメラの映像によって泥棒たちは逮捕されたが、絵画は行方不明のまま。そこで、バルボラは自ら行動を起こす。逮捕された泥棒の1人、カール・ベルティルという名のタトゥーだらけの男の裁判を傍聴することにしたのだ。「何よりもアーティストとして強い好奇心が湧いた。何かは分からないけれど、そうすべきだと感じた。」とバルボラは言う。盗まれたのが携帯電話や時計だったら違ったかもしれないが、彼が盗んだのは自分の描いた絵なのだ。「このままにしておくわけにはいかない」とバルボラは思った。
バルボラは、裁判所で証言台に近づきカール・ベルティルに尋ねた。「また会えるかしら?あなたをモデルに絵を描きたい。」
こうして始まった複雑な人間関係――同情、共感、心の弱さと葛藤、観察者と被観察者の間に潜在する動機――によって、この『画家と泥棒』は実験的な映画作品となった。ノルウェーのベンジャミン・リー監督による注目すべきドキュメンタリーだ。
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