音楽ドキュメンタリー『たまの映画』（10）で商業監督デビュー。恋愛群像劇『こっぴどい猫』（12）がトランシルヴァニア国際映画祭（最優秀監督賞受賞）を含む数々の海外映画祭で上映。TVドラマ「イロドリヒムラ」への脚本参加（監督・犬童一心）や、山下敦弘監督とともに共同監督したドラマ「午前3時の無法地帯」など映画以外にもその活動の場を広げ、その後『サッドティー』（14）では男女の一筋縄ではいかない恋愛模様を描き注目された。『知らない、ふたり』は、国内に留まらず世界でも注目される今泉力哉監督だけに韓国からも俳優陣を迎え入れ、見るものを惹き付ける独特な会話のテンポと巧みな時間軸の表現で、彼の真骨頂でもある恋愛群像劇の新たな到達点となる作品へと仕上がっている。また、気鋭の音楽家・木下美紗都と石塚周太（detune.）による新たな音楽プロジェクト‟アルプ”による劇伴も、映画の独特な世界観に彩りを添えている。
本作は、昨年の日本映画賞レースを席巻した『百円の恋』が初上映され作品賞も受賞した、新たな日本の才能の小ケースとしても認知されてきている東京国際映画祭　日本映画スプラッシュ部門にて、本年度の正式招待作品として国内初上映が決定している。

【若者から絶大な人気を誇るキャスト陣が演じる、等身大の恋愛模様】

今を生きる等身大の男女の複雑な恋愛模様が、世代を超えた共感とともに胸に沁みる群像劇となる本作。靴職人見習の韓国人青年・レオン役には、圧倒的な歌唱力とダンス、イケメンでありながらも母性本能をくすぐるルックスで世界中を虜にする（全世界Facebook登録者数200万人突破）韓国アーティストNU'EST（ニューイースト）のボーカル・レンを起用。女性キャスト陣には、レオンを慕う小風役に『mer』『SEDA』などの女性ファッション誌でモデルとして活躍し若い世代からカリスマ的な人気を誇り、女優としての活躍もめざましい青柳文子。レオンが思いを寄せるソナ役に『悪人』『ペタル　ダンス』など作家性の高い監督作品への出演を中心に個性派女優として活躍している韓英恵。加奈子の彼氏役に『福福荘の福ちゃん』で独特の存在感を放った芹澤興人。そして、日本語学校の講師・加奈子役には、「勇者ヨシヒコ」シリーズや「マッサン」など話題作へのドラマ出演をはじめ、映画・舞台など幅広い活躍が続く人気実力派女優木南晴夏、と豪華な若手陣が脇を固める。

【お互いの想いを‟知らない”7人の男女の視線が交差する＿】

靴職人見習の韓国人青年・レオンは、来る日も来る日も黙々と靴修理の仕事をし、昼になると靴墨で汚れたショップコートを着たまま、いつもの公園で毎朝自分が握ったおにぎりを食べ、まるで人との接点をさけるかのように生活していた。2年前、自分につられて信号無視をした男性が自動車にはねられるという事件に遭遇し、それ以来、自分を責め心を閉ざしていた。ある日の昼、いつものように‟公園のベンチ”に行くと、そこで酔っ払って寝ている若い女性・ソナに絡まれる。彼女は去り際にヒールが折れてしまい、そのまま裸足で立ち去った。レオンは何故か彼女のことが忘れたれなかった。翌日、彼の元にそのヒールの靴が修理として回ってきた。動揺をなんとか抑えつつs、その伝票の名前と住所を確認したレオンは、その次の日、その伝票に書かれた住所のアパートの前に立っていた。そこには「103号室ナム　サンス」と書かれていた＿。サンスという男性がソナと同じコンビニでアルバイトをしていることを知ったレオンは、その日から毎日どうしても気になるソナの後をつける行動を始める。レオンと同じ店で働き、彼に想いを寄せる日本人女性・小風。レオンの様子が少し変わったと感じた小風は、彼のことを好きなあまり、毎日、後をつけ始める。彼が見知らぬ若い女性の後をつけていることを知った小風は、レオンのことを訝しげに思っていた。そんなある日、以前ヒールの折れた靴を修理に出しに店に現れた韓国人青年・サンスから、一目惚れしたと告白をされる。あまりに突然のことに動揺し小風は、その日の夜だけはレオンの後をつけなかった。サンスから貰ったラブレターを後で読み、その純粋さに心が少し温かくなる。それでもレオンが気になる小風は、翌日からレオンの後をまたつけ始めた。しかし、その日を境にレオンはその女性の後をつけず、真っすぐ家路につくようになっていた。昨晩はたして何があったのか＿？