英国式アートの新しい楽しみ方。それは、世界屈指の美術館の日常をこっそりと覗き見ることからはじまる-巨匠フレデリック・ワイズマン監督最新作
【原題】National Gallery
【監督】フレデリック・ワイズマン
2014年/フランス,アメリカ /181分/セテラ・インターナショナル /DCP上映
2月14日(土)〜2月20日(金) |
15:30〜18:35 |
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2月21日(土)〜2月27日(金) |
13:55〜17:00 |
2月28日(土)〜3月06日(金) |
11:35〜14:40 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
オープニングの直後からスクリーンに躍るのは、美術館を訪れる人々へのヴァリエーションに富んだもてなしだ。スライド上映付きの講演会では、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、レンブラント、ターナー、ゴッホ、モネなど、綺羅星のごとく並ぶ選りすぐりの傑作によって、13世紀から20世紀初頭の西洋美術の流れを簡単につかむことができる。館内ガイドツアーでの、学芸員や専門家の工夫を凝らしたギャラリートークは、アートとの出会いをワクワクするような興奮に変えてくれる。本格的なデッサン教室や触れる絵画のイベントなど、ワークショップも斬新なアイデアに溢れている。
驚くべきは、常設展への入場料もこれらのオプションも、すべてが無料だということだ。王家の秘蔵品を集めた他国の国立美術館と違って、ナショナル・ギャラリーは一市民のコレクションから誕生した。そんな由来からも、アートを楽しむことに、貧富や階級の差はないというスピリットを今も守り続けているのだ。
続いてカメラは、ナショナル・ギャラリーの名を高めた、高度な修復作業を追いかける。百年以上の時を経て、画家が描いた当時の姿が甦るのは、もはや一大スペクタクルだ。X線分析によって、レンブラントやダ・ヴィンチの絵画の下から別の絵が浮かび上がるに至っては、上質のミステリーを紐解くよう。まるで命ある物を世話するように日々手を掛けるのは、絵画だけではない。額縁も新たに作られ、展示位置も定期的に見直され、照明は気が遠くなるほど繰り返し調整される。さらに奥の会議室へとカメラは進み、予算やPR、企業とのタイアップの是非など白熱の議論までが明かされる。
ワイズマンの何一つ漏らしはしない眼を通して、私たちは気付く。この美術館の人気の秘密は、すべて愛と情熱にあることに。アートの素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいという願いが、ナショナル・ギャラリーを夢の国に変えたのだ。
そしてラストを飾るのは、ロンドン・オリンピックの記念に行われた英国ロイヤル・バレエ団との華麗なるコラボレーション。新鋭振付師ウェイン・マクレガーが、新作のインスピレーションを得たティツィアーノの絵画の前で、二人のプリンシパルが幻想的な踊りを繰り広げる。
扉を開けると、そこでは時を越え美と歴史、幾つもの人生がめぐり逢う。発見と驚きに満ちた、今を生きる歓びが溢れる究極のドキュメンタリー、至福のひと時がここに─。
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