世界の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ、幻の傑作!
【終了日:2/12(金)】
【原題】O Estranho Caso de Angelica
【監督】マノエル・デ・オリベイラ
【キャスト】リカルド・トレパ,ピラール・ロペス・デ・アジャラ,レオノール・シルベイラ,ルイス・ミゲル・シントラ,アナ・マリア・マガリャンエス
2010年/ポルトガル,スペイン,フランス,ブラジル /97分/クレストインターナショナル /DCP
1月23日(土)〜1月29日(金) |
13:25〜15:05 |
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1月30日(土)〜2月05日(金) |
18:35〜20:15 |
2月06日(土)〜2月12日(金) |
09:30〜11:10 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,000 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,000 |
現役最高齢監督として国際的に知られ、2015年4月2日に、惜しまれつつも106歳で永眠した世界の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。そのオリヴェイラ監督が101歳の時に撮り上げ、第63回カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門のオープニングを飾った『アンジェリカの微笑み』が、紆余曲折を経て、ついに日本公開される。本作はもともと、オリヴェイラ監督が1952年に脚本を執筆したものだが、その後映画化されないままになっていた。当初は、第二次世界大戦におけるホロコーストの記憶が生々しく残され、ナチス・ドイツの迫害を逃れてポルトガルに移り住んだユダヤ青年である主人公のアイデンティティが強調されていた。 それを半世紀以上の歳月をかけて熟成させ、混沌とする世界情勢を背景に監督自らが書き直して、現代の物語として完成させた、まさに、芳醇な極上ヴィンテージワインのような傑作である。
ポルトガルはドウロ河流域の小さな町。カメラが趣味の青年イザクは、ある夜、若くして亡くなった娘アンジェリカの写真撮影を依頼され、町でも有数の富豪の邸宅を訪れる。白い死に装束に身を包み、花束を手に抱えて横たわる、かの娘にカメラを向けると、その美しい娘は、突然瞼を開きイザクに微笑みかける。その瞬間、イザクは雷に打たれたように恋に落ち、すっかりアンジェリカの虜になってしまうのだった。
絶世の美女アンジェリカの神秘に満ちた美しすぎる微笑みに心奪われ、日頃の愁いも忘れて、昼も夜もアンジェリカに想いを馳せるイザク。その想いに応えるように出没するアンジェリカの幻影。
一瞬にして重なり呼応する愛の波動が、この世とあの世の境界を飛び越え、ふたつの魂を引き寄せる。生と死、夢と現実、静寂と喧騒、手仕事と機械化、物質と反物質など真逆のエレメントの数々が、この運命的な出会いを際立たせ一層の深みを与えている。
魔術的な語り口に長けた映画作家オリヴェイラ監督だからこそ創り得た、ミステリアスで驚くほど瑞々しい、時空を超えた愛の幻想譚である。
青年イザクを演じるのは、『夜顔』(06)『ブロンド少女は過激に美しく』(09)など、オリヴェイラ映画の常連俳優であり、監督の実の孫でもあるリカルド・トレパ。一方、『女王フアナ』(01)『シルビアのいる街で』(07)などの人気女優ピラール・ロペス・デ・アジャラがアンジェリカに扮し、うっとりするほど艶美な微笑みで観る者すべてを魅了する。加えて、レオノール・シルヴェイラ、ルイス・ミゲル・シントラ、イザベル・ルートほか、オリヴェイラ一家とも呼べるベテラン俳優たちが脇を固め、日常の何気ない行為や会話に、そこはかとないユーモアや年輪を感じさせるエスプリを散りばめた、オリヴェイラ映画独特の世界観を支えている。
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