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忘却の予感と共に、旅路をゆく女。誰かをひたむきに思い続ける彼らの姿を映し出した“希望”のロードムービー
【終了日:2019年11/1(金)※1週限定上映】
【監督】工藤梨穂
【キャスト】村上由規乃,上川拓郎,辻凪子,佐々木詩音,窪瀬環
2018年/日本/89分/アルミ―ド/DCP
10月26日(土)〜11月01日(金) |
21:30〜23:00 |
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一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,100 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,100 |
【あらすじ】
夏が永遠のように続く世界で生きるエマ。
最近、物忘れがひどい彼女はノートを手放さず、
家にもあらゆるメモを貼っている。
そんなある日、彼女の元に、
孤児院時代の幼馴染であり 現在行方不明のヤンから象の絵が届く。
エマはその消印を手掛かりに彼を探す旅に出た。
道中で彼女は、ヤンと同様に幼馴染であったバンに邂逅し、
その恋人であるユリとも知り合う。
タヒチへ高飛びする計画が失敗した彼らは、
ずるずるとエマの旅についていくこととなる。
その一方で、エマはヤンへの思いを募らせ、
また自らの記憶の喪失が加速していることを恐れ始めていた…。
【終わらない夏に終末感が漂う中で、誰もが誰かの背中を追い、誰かを待っている。カセットテープを巻き戻していくかのような旅が今、始まる。】
異常な高温が続き、誰もが汗ばむある夏の日々を描いた本作は、寺山修司著書の一節から着想された、当時22歳の女性監督が手掛けた渾身のロードムービーである。アジアの異国を思わせる中華街や市場、そして鮮やかな新緑の草原など彼らの旅路を彩る様々なロケーションの移ろいは、観る人を日常からどこかへと連れ出してゆく。日本の見慣れた街並みから外れた“無国籍”な雰囲気が取り巻くこの世界で、私たちは彼らの愛、そして希望を目撃するだろう。第40回ぴあフィルムフェスティバルにてグランプリ・ひかりTV賞を獲得後、なら国際映画祭学生部門NARA-waveではゴールデンKOJIKA賞と観客賞をダブル受賞など、数々の映画祭を席巻した珠玉の作品。
こぼれ落ちていく記憶と対峙する主人公エマを務めるのは、「赤い玉、」や「クマ・エロヒーム」で圧倒的な存在感を放つ村上由規乃。第19回TAMA NEW WAVEにてベスト女優賞を本作で獲得した彼女の演技は、各地で絶賛の嵐を巻き起こしている。エマを受け入れ、共に生きていこうとする少年バン役に上川拓郎。はつらつとして時に切ない彼の姿を丁寧に演じきった。
また、脇を固める俳優陣の圧巻した演技にも目が離せない。エマへ傾いていくバンを振り向かせようとする恋人のユリを演じるのは、映画「温泉しかばね芸者」やドラマなどで活躍する一方、監督作「ぱん。」などが話題の辻凪子。ヤンの妻であり、どこか不気味さを感じさせるペンションの女主人ルカに、「嵐電」の窪瀬環。ペンションに滞在する謎の浮浪人アキを「DRILL & MESSY」、「ウィッチ・フウィッチ」などに出演の佐々木詩音が務める。そして、「赤い玉、」や「ベー。」の吉井優が物語の軸となる人物、ヤンに挑んだ。
ひとつの季節に閉じ込められ、やがて明瞭になっていく彼らの孤独を独特の世界観で描き出した本作。 “忘れゆく”、あるいは“忘れられてしまう”という絶望の中に、この映画は、ある光を映しだした。
スクリーンの中で生き続けていく彼らの姿は決して忘れられない。
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