2019年、香港理工大学は炎に包まれ、戦場と化した―
匿名の監督たちが記録した、衝撃の88分
【終映日:2023年6月8日(木)】
【原題】理大囲城 Inside the Red Brick Wall
【監督】香港ドキュメンタリー映画工作者
2021年/香港/88分/Cinema Drifters=大福/DCP
5月27日(土)〜6月02日(金) |
17:50〜19:25 |
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6月03日(土)〜6月08日(木) |
11:45〜13:15 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,200 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,200 |
香港理工大学包囲事件は、2019年の香港民主化デモの中でもスキャンダラスな事件だったが、いまだその全容はあきらかになっていない。圧倒的な武力を持つ警察により包囲された構内には、中高生を含むデモ参加者と学生が取り残され、逃亡犯条例改正反対デモで最多となる、1377名の逮捕者をだした。 警察の包囲網により、大学は完全に封鎖され、救援物資を運ぶことも、記者や救護班が入ることも許されなかった。しかし匿名の監督「香港ドキュメンタリー映画工作者」たちは、デモ参加者として大学構内でカメラをまわし続けた。警察による装甲車、放水、催涙弾の攻撃に、デモ隊は弓矢、火炎瓶で応戦し、平和なキャンパスは炎に包まれた。大音量の音楽で対抗し、スラングで罵倒しあう警察とデモ隊、助け合いながらも裏切り者がいるのではないかと疑心暗鬼になり対立するデモ隊たち。カメラは追い詰められたキャンパスの中の混乱を記録し続けていく。
武器を持ち戦い続けるか、命がけで脱出するか──
戦場と化した大学構内で、究極の選択を迫られていく!
理大構内に残されたデモ隊は、安全に脱出することを望んだが、警察は一歩も譲らず兵糧攻めを決行し、膠着状態が続いた。逮捕されれば暴動罪で懲役10年となる可能性もある中、デモ隊は「最後まで戦うか、脱出するのか」という究極の選択を迫られていく。仲間を残して自分だけが助かるのか、戦おうとする自分たちを仲間は裏切り見捨てるのか…。
「本当は怖くて仕方ない。」
キャンパスに留まっても、圧倒的な武力を持つ警察に潰される恐怖、脱出しても逮捕されるかもしれない恐怖。リーダー不在の運動は、ひとりひとりの決断によってのみ全てが決定されていくが、やがてそれはデモ隊の心をかき乱していくことになる。
四面楚歌のキャンパスの中の人間模様は、まさに社会の縮図だ。圧倒的な武力で封じ込めようとする警察を前に、なすすべもないデモ隊の姿は、まるで香港が置かれている状況に重なっていく…。
これは大学を舞台にした、悪夢の“密室劇”なのか──
監督全員匿名、出演者の表情はモザイク処理、香港では上映禁止!
香港映画の歴史に名を刻む、ドキュメンタリー映画が世界初劇場公開!!
『理大囲城』は、香港映画評論学会27年の歴史でドキュメンタリー映画として史上初の最優秀秀映画賞を受賞する快挙を成し遂げた。受賞記念上映会のチケットを求め観客が殺到したが、「暴徒礼賛映画」のレッテルを貼られ、上映会は中止に追い込まれた。その後、香港では上映禁止になるも、2021年台湾国際ドキュメンタリー映画祭(台湾国際記録片影展)のオープニング作品として上映され、山形国際ドキュメンタリー映画祭では、香港映画として初の最高賞ロバート&フランシス・フラハティ賞を受賞し、大きな話題となった。
なお、本作の監督及び製作者は、将来のキャリアと身の安全を考慮して、全員匿名となっている。出演者も逮捕の危険性から、防護マスクや、モザイク処理で、その表情は画面には映し出されない。しかし外部からの視点を一切排除し、閉じ込められた人々の視点で語られていく映像は、生々しいまでの息遣いと心情を映し出し、見えないはずの表情を浮かびあがらせていく。
2020年、香港国家安全維持法が施行され、香港では映画の検閲が強まっている。しかし『理大囲城』を起爆剤として、皮肉にも新時代の香港映画は世界を席捲しはじめている。2021年カンヌ国際映画祭、フィルメックスにて『時代革命』(監督:キウィ・チョウ)が サプライズ上映され、台湾アカデミー賞(金馬奨)では極秘裏に制作された『少年たちの時代革命』(監督:レックス・レン、ラム・サム)が上映され、大きな話題となった。香港映画人たちの不屈の精神は、香港映画に新しいムーブメントを生み出し、世界を熱狂させているのだ。
(C)Hong Kong Documentary Filmmakers
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