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新しい価値観の戦後、奔放に生きる男と真っ直ぐに生きる女。太宰治「斜陽」執筆75周年記念映画
【終映日:2023年4月28日(金)】
【監督】近藤明男
【原作】太宰治
【キャスト】宮本茉由,安藤政信,水野真紀,奥野壮,田中健,細川直美,白須慶子,三上寛,柏原収史,萬田久子,柄本明,尾崎右宗,菅田俊,岡部尚,中谷太郎,緒方美穂,三木秀甫,岡元あつこ,栗原沙也加,今泉朋子,白石恭子,薗田正美,光藤えり,山村友乃,野崎小三郎,ジョナゴールド,春風亭昇太
2022年/日本/109分/彩プロ/DCP
4月15日(土)〜4月21日(金) |
13:10〜15:10 |
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4月22日(土)〜4月28日(金) |
10:00〜11:55 |
一般 | 大専 | シニア | |
通常 | ¥1,800 | ¥1,500 | ¥1,200 |
会員 | ¥1,500 | ¥1,200 | ¥1,200 |
明治42年(1909年)6月19日生まれの太宰治が今年2022年には生誕113年を迎える。
太宰文学の中でとりわけ大きく花ひらき、ベストセラーとなった小説が「斜陽」である。その「斜陽」が生まれてから75年の歳月が流れようとしている。
「人間は恋と革命の為に生まれて来たのだ」
女主人公のこの結論は、世俗に必死に抗議する〈詩人・太宰〉の姿でもある。
青森の富裕な大地主の6男として産まれ、〈奔放〉とも〈無頼〉とも〈破滅〉とも評される太宰治の生き様を様々な登場人物に投影させた小説「斜陽」は、戦争に敗れ、それまでの生活や価値観が大きく変わらざるを得なかった時代を背景に描かれている。様々な政治不安や不況、そしてなにより生活や人間関係を一変させたコロナ禍の下の現代で、映画『鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽』は、旧来の価値観と抗い、自らの真情を貫くヒロインを描くことで、やがて来るであろう明日への希望を謳い上げている。
主演のかず子役には、若手成長株ナンバーワンの美貌と演技力で将来性を高く評価されている宮本茉由。かず子の年の離れた恋の相手、作家上原二郎=インテリジェンスとデカダンを演じ分ける難役に挑むのは、『キッズ・リターン』(96)で映画賞を総なめにした安藤政信。戦争で没落した貴族の一家の女当主でありながら、その誇りを忘れない〝最後の貴婦人〟と称されるかず子の母親役には時代劇から現代劇まで幅広く活躍する水野真紀。アイデンティティーを確立できず破滅へと歩を進める弟、直治には「仮面ライダージオウ」の奥野壮。さらに柄本明、萬田久子、田中健、細川直美、春風亭昇太ら演技派、実力派の面々が脇を固める。
監督には『ふみ子の海』(07)の近藤明男。吉村公三郎、増村保造、市川崑ら映画史に残る巨匠の作品を助監督として支えてきた同監督が、増村保造監督と脚本家の白坂依志夫が遺した脚本を基に脚本を再構築、本作のメガホンを執った。
【STORY】
太平洋戦争が終わった昭和20年、没落貴族となった上、当主である父を失ったかず子とその母、都貴子は困窮してゆく生活の為に東京西片町の実家を売って西伊豆で暮らすことになった。もと子爵の別荘を世話してくれた叔父の和田は引越し疲れと心労で倒れた母とかず子に僅かなお金を手渡し、東京へ帰ってしまう。地下足袋、もんぺ姿になったかず子は隣の農夫茂助から畑仕事を教えてもらい、これからの新しい生活を始めるのだった。
一方、南国の戦地に赴いたまま行方不明となっていた、弟の直治が生きており帰国するとの知らせが入ると、母は家族が三人になればさらに生活が苦しくなるので、かず子に「再婚相手を探しているような歳の離れた資産家に嫁いだらどうか」と話す。激しい口論の末、激怒したかず子は「鳩のごとく素直に、蛇のごとく慧かれ」というイエスの言葉とともに6年前の出来事を思い出す。
まだ学生だった直治が師匠と仰ぐ、中年作家、上原二郎との出会いである。 直治を麻薬中毒から救うために酒飲みに転向させるとかず子を安心させ、酒に誘ったかず子を突然抱きしめ二重廻しの中で強引に接吻する上原に不意をつかれたかず子は身を固くしたまま受け入れた。一夜の恋心の目覚めであった。
そして半年後、戦闘帽と軍服姿で帰国した直治は、優しい母から小遣いをせびり東京の上原の元へと早々と別荘から出かけてしまう。直治からいろいろ話を聞くことを楽しみにしている母の為にも、弟の荒れた生活を止めさせる為にもかず子は東京へ向かう。焼け野原となった街を満員電車に揺られ、狂気じみたエネルギー溢れる闇市を抜け、上原が毎夜のように取り巻きの弟子たちと派手に飲みまくる西荻窪の飲み屋「千鳥」にやっとの思いでたどり着く。6年振りにかず子が見た売れっ子作家上原には頭に白いものが混じり、別人のように疲れきっていた。
入口に立ち尽くすかず子に気づいた上原は、直治を強引に伊豆に帰し、友人の画家のアトリエの二階に二人きりの一夜の宿を借りる。6年前の上原との出会いが甦るかず子の前に下のアトリエで一人酒を飲んでいた上原が現れ、素早くかず子を抱き締める。
「畜生、しくじった惚れちゃったよ、俺」 「好きよ、大好き」
歓びに身を固くしながらも全てをまかせるかず子。その裸身がまるで蛇のようにゆるやかにうごめく…。
(C)2022「鳩のごとく 蛇のごとく」製作委員会
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