友愛の人と呼ばれ、
眼差しの人と呼ばれ、
作家の魂のアンカーと呼ばれ、
最後の無頼派と呼ばれた編集者
【監督】川口ひろ子
【キャスト】長田洋一(本人),福島泰樹(歌人),正津勉(詩人),山口泉(作家),佐藤直子(東京新聞論説委員),塩尻市立図書館館長・図書館員(上條史生、中野友美),高橋博(穂高ひつじ屋店主),窪島誠一郎(戦没画学生慰霊美術館 無言館)
2025年/日本/70分/
河出書房新社の元編集者 長田洋一(おさだ よういち)の足跡を辿りながら、1979年から2002年までの出版のありようを伝える前半部分と、2003年から現在までの長田洋一の活動を伝えながら、一貫して貫抜かれた長田洋一の姿を追ったドキュメンタリー映画の制作プロジェクトです。
長田洋一は俵万智「サラダ記念日」、中上健次「千年の愉楽」、立松和平「遠雷」を世に送り出す一方、文藝編集者としてジャンルを超えてノンフィクションを大切にし、松下竜一の仕事を助け、「松下竜一 その仕事」全30巻等を生み出しました。また優れた作品が管理費節約のため断裁されていくのを悼み、多くの個人著作集を作りました。当時見えていた読者が見えなくなり始めた出版界は、大きく指針を経済に切り替えます。その中での長田洋一は経済と使命との狭間に戦い続けました。幼少期の結核が元で17歳で腎臓摘出した長田は、度重なる病により2002年退社。治療生活に区切りをつけて2007年に東京を離れ、療養のために信州に居を移しました。長野の出版社の仕事に係る傍ら、塩尻市立図書館創設の目玉企画「本の寺子屋」をプロデュース。中央から地方へ文化と出版の架け橋を作りながら、地方から発信することを次の視野に持つことになります。
長田は1944年生まれ、現在79歳。その足跡を辿りながら、ひとつの出版史としてみることもできるが、同時代を生きた人には共感する部分が多いかもしれません。さらに世代を超えて経済と心の豊かさの均衡が激しく問われている今、このドキュメンタリーが作られることの意味は大きいでしょう。
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