地球に落ちて来た男 screen ジャック

公式サイト: http://bowiechikyu.jp/

デヴィッド・ボウイ追悼上映。30代を目前に俳優として新たなキャリアを切り開いた記念碑的作品!
【終了日:9/23(金)※1週限定上映】

【原題】The Man Who Fell to Earth
【監督】ニコラス・ローグ
【キャスト】デビッド・ボウイ,リップ・トーン,キャンディ・クラーク,バック・ヘンリー,バーニー・ケイシー
1976年/イギリス/139分/boid/DCP

サービスデーなど、上映回によっては多少混み合います。
満席にはなりません。
9月17日(土)〜9月23日(金)
19:00〜21:20
  一般 大専 シニア
通常 ¥1,800 ¥1,500 ¥1,000
会員 ¥1,500 ¥1,200 ¥1,000
高校生以下・しょうがい者:¥1,000
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今はもうないあの場所へ
いつの日かわたしはきっと帰るだろう

【「デヴィッド・ボウイ」の誕生】

2016年1月10日、この世を去ったデヴィッド・ボウイ。その2日前に69歳の誕生日を迎え、2年ぶりのアルバム『★(ブラック・スター)』を発表したばかりだった。架空のロック・スター「ジギー・スターダスト」を演じることで世界的な大スターとなった彼は、それだけではなく、それぞれのアルバムでは常に自分ではない誰かを演じることで、「デヴィッド・ボウイ」となってきた。そんな彼でしかできない、「演出された死」と言いたくなるような、見事すぎる最期でもあった。

【アメリカでの2枚のアルバム】

そんなデヴィッド・ボウイが「ジギー・スターダスト」を葬り、アメリカに渡ったのが74年。アメリカでは『ダイアモンドの犬』『ヤング・アメリカンズ』の2作を立て続けに発表し、そしてすぐに撮影に入ったのが『地球に落ちて来た男』。当初、この映画のための曲も用意していたが、あくまでも俳優として、被写体としてのデヴィッド・ボウイを必要としていた監督のニコラス・ローグからの要請もあって、演技に全力を注ぐことになった。しかしそのためボウイは精神的なバランスを崩す。撮影後すぐに製作を開始した『ステイション・トゥ・ステイション』は、そのバランスの回復のため、『ヤング・アメリカンズ』と別方向から対をなすアルバムとなったと言われている。

【宇宙人化する身体】

映画の撮影は1975年7月から始まった。主な撮影場所はアルバカーキ、ホワイト・サンズ、フェントン・レイクなどニューメキシコ州の各地。11週にわたる撮影期間中、ボウイは薬物に依存しながら過ごしていたことを、後のインタビューで語っている。当時は自分が何をやっているか、わかっていなかったとも。だがもちろん、そんな不安定で、どこか覚醒した状態こそ、この映画の宇宙人の役柄に求められていたことだった。そしてその身体を見事にとらえたのは、『赤い影』(1973年)や『ジェラシー』(1980年)など、ニコラス・ローグ作品に欠かせないカメラマン、アンソニー・B・リッチモンド。まさに地球外から来た男の、悲しさを帯びたきらめく身体が、そこに映しとられている。

【音楽】

俳優に専念することになったデヴィッド・ボウイの代わりに音楽を担当したのは、ジョン・フィリップス。「夢のカリフォルニア」のヒットで知られるママス&パパスのリーダー的存在で、当時はすでにバンドは解散、ソロ活動を行っていた。同時期にローリング・ストーンズのミック・ジャガー、キース・リチャーズとのレコーディング作業も行っており、その縁があってか、本作のサウンドトラックにも、当時のストーンズのギタリスト、ミック・テイラーも参加している。また、日本人のパーカショニスト、ツトム・ヤマシタの音楽も使用。その他、劇中の挿入曲としてルイ・アームストロング「ブルーベリー・ヒル」、キングストン・トリオ「トライ・トゥ・リメンバー」、ロイ・オービソン「ブルー・バイユー」、ビング・クロスビー「トゥルー・ラブ」、そしてアーティ・ショウ「スターダスト」など、懐かしの名曲が印象的に使われている。

【ニコラス・ローグ】

監督のニコラス・ローグはロジャー・コーマンの『赤死病の仮面』(1964年)やフランソワ・トリュフォーの『華氏451』(1966年)の撮影監督としても知られる。初監督作品『パフォーマンス』(1970年)ではミック・ジャガー、『地球に落ちて来た男』の次作『ジェラシー』(1980年)ではアート・ガーファンクルを主演に迎えるなど、ミュージシャンの身体を映画の中心に置くことで、「映画」を作り変えてきた。俳優ではない「異物」としてミュージシャンたちの身体があることで、映画は不安定になり、そこに運動が生まれた。まさにこの『地球に落ちて来た男』の物語こそ、ニコラス・ローグの映画づくりそのものだったのだ。

【2枚のアルバム・ジャケット】

映画の完成後、デヴィッド・ボウイは「アラジン・セイン」「ジギー・スターダスト」に続く新たな人格を求め、「シン・ホワイト・デューク」を名乗り始める。それは『地球に落ちて来た男』の宇宙人ニュートンのイメージと重なり合うが、ボウイは、『ステイション・トゥ・ステイション』の後にアメリカを離れ、ベルリンへと拠点を移すことになる。そしてベルリンで製作されたのが『ロウ』。『地球に落ちて来た男』の後に製作された2枚のアルバムのジャケットは、ともに『地球に落ちて来た男』でのボウイ=ニュートンの姿が写されている。そのことはいかにボウイにとって『地球に落ちて来た男』の影響が大きかったかを物語るだろう。

【Story】

ある日宇宙船が地球に落下する。砂漠に降り立った宇宙人は、あまりに美しい容姿を持っていた。その後弁護士のもとを訪れた彼は、人知を超えた9つの特許を元に、弁護士とともに巨大企業を作り上げていく。アメリカのかつての大富豪、ハワード・ヒューズなどを思わせる、彼の奇妙な暮らしが始まり、彼は全米の注目の的となる。一体彼は何をしようとしているのか?彼は何者なのか? もちろんそんな彼の勢威を恐れる者たちもいた。彼の秘密の計画は思わぬ妨害を受け、彼の暮らしは一気に変わる。果たして彼は、故郷の星に戻ることができるのか…

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